スポーツの秋・読書の秋

 人に仕事のないときはいつも何をしているかと聞かれると、一週間を振り返り、われながらマンネリ化していることに呆れてしまう。「語学の勉強」という名目でひたすら海外ドラマを楽しんでいるだけなのだ。
 たしかに私の現在の中国語と英語の語学力は、海外ドラマなくしては有り得なかったものだし、次は韓流に手を出すことも検討しているなど、今後も延々と見続けることになるだろうが、しかしものには程度がある。そう思っていたこの秋、コナミスポーツクラブへ通い始めた。
 コナミが私の職場と提携している関係で、実は3年前の冬にも通っていたことはある。しかし夏が近づく頃、高い会費を払わなくとも暖かければ運動くらい一人でできると考え、退会した。しかし運動できるということと、実際に運動するということは別物で、減少しかけていた私の皮下脂肪は再び増加に転じて年々厚くなっていくということになってしまった。経済合理性を追求したい私の性向からすれば全く不本意なのだが、高い会費ゆえに勿体ないという感情が働き、それゆえにジムに通ってしまうという心理的な要素があることも否定することはできない。
 通い始めた当初は、水泳が主だった。折角なら体を動かすついでに泳法でも身につけたいと思ったのと、全身運動なのと、水着なら荷物が少なくて済むというのが動機だったのだが、今は延々とバイクをこいでいることが多い。バイクの利点は、こぎながら本が読めるということ。私は百冊読書と銘打って一年間に百冊の本を読むことをこころがけているけれど、体を動かしている時間も活字を追えば、体と脳に一石二鳥、得をした気分になれる。
 どんな本を読んでいるかって?多読を旨とするのでジャンルに拘りはないが、今は珍しく推理小説を重ねている。平成期の日本推理作家協会賞受賞作という縛りをかけてみたのだが、純文学志向の強い私としても、ついつい引き込まれる作品は多い。賞で縛りをかけること自体、自分の感性で作品を選べないのかという向きがあるだろうというのは承知の上だが、より多くの一流作家の作品に触れるためには効率的であり、やむをえないだろう。まぁ、テレビドラマの台本としてはいいのだろうと思いつつ全く興味をそそられなかった作品もあったけれど。
 そしてスポーツと読書の秋はいつのまにか暮れていき、いつしか冬に変わる。これからの季節も一層、スポーツや読書を楽しみたいものである。