ほくほく株

yosuke0araki2005-07-02

 5月31日、ほくほくフィナンシャルグル−プの単元株を購入した。買値は33万円、一夜明ければ34万7000円になっていたので、濡手に泡の心地がしたが、株価はその後1ヶ月にわたり33〜34万円で安定している。インタ−ネットを利用することにより株取引の手数料は微々たるものになったけれども、譲渡益に対する7%の所得税と3%の住民税は無視できない。つまり一割以上の値上がりがなければ株を転がすことなどできないのだ。簡単に儲けることなどできないんだなあと、当たり前のことを考えてしまう。
 そもそも私が、株取引をするようになった理由としては、まず譲渡益ありきというわけではない。競馬好きな人が競馬新聞を読むような、釣り好きな人が釣り新聞を読むような感覚で日本経済新聞を読めるようになるというのが最も大きな目的である。そのために、経済全体と関わっている業種として金融に投資先候補を絞りこんだ。そしてその上で富山と北海道という私にとっての二つの郷土に所縁のある「ほくほく」に特定した。北海道職員として北海道のために貢献し、地域経済が成長すれば持ち株の資産価値も上がる。セルフサ−ビスのストックオプションである。
 北海道には十年ほど前まで、北海道拓殖銀行という都市銀行が存在した。拓銀北海道銀行は統合に合意したが、道銀は合意を撤回。それからまもなく拓銀は経営破綻して、北洋銀行がその受け皿となった。しばらく旧拓銀不良債権に苦しんだ北洋ではあったが、やがて札幌銀行と提携して札幌北洋ホ−ルディングスを設立した。この潮流の外にあった道銀と北陸銀行の提携により、H16年9月には持株会社としてほくほくフィナンシャルグル−プが設立され道内の金融業界は2大グル−プに集約された。
 企業価値を判断するためには、安全性・収益性・成長性の3つの観点から分析するのが一般的である。先月末に富山市で開催された株主総会には出席できなかったので手元にはミニディスクロ−ジャ−誌しかないけれど、それでも貸借対照表から自己資本比率4.09%を、損益計算書から資本収益率1.35%を計算することぐらいはできる。安全性は可、収益性は良、成長性は優といったところだろうか。私にとっての今後の課題は、簿記についての知識を習得することで財務諸表の個々の科目にまで踏み込んだ財務分析をすることと、新規の投資によりリスクの分散を図ることである。手の内を明かすならば、私は次の投資先として外国為替市場を考えている。株式市場と異なりゼロサムゲ−ムなので夢はないが、仮に金融破綻により日本経済が地に落ちたならば、相対的にドルやユ−ロの価値が高くなる。地域経済とともにある株式と世界経済とともにある為替により資産形成をしていきたい。
 こういう考え方は、毎月定額を預金している多くの人からはリスク愛好的に見えるかもしれない。しかし、留意したいのは預金という行為も現金に対する投資行為だということだ。現金は毎日使っているものであり、商品価値の尺度になっているから、実感はわかないけれど、現金そのものの価値も絶えず変動している。デフレになれば高騰し、インフレになれば下落するのだけれども、電車に乗ってしまうと電車が動いているのが分からなくなるのだ。
 もちろん、証券市場で身を滅ぼした人は数多くいるのであり、証券に生活を依存することのないよう自戒するところではある。行き着くところがバランス感覚だという原則は、国家財政でも個人資産の運用でも変わるものではない。