2008-01-01から1年間の記事一覧

千円の最低賃金

この10月、北海道の最低賃金は「2年連続の大幅増額」で667円になった。644→654→667というのは、これまでの上げ幅からみれば確かに大きいし、3時間2千円という働かせ方が違法になったという意味では今回の改正も一応の意義があろう。しかし…

アジア外交

オバマ上院議員の大統領当選は国内外で好意的に受け止められているようだ。アメリカンドリームを体現したかのような若き指導者の登場により、ブッシュ政権への落胆は期待に変わろうとしている。しかし日米関係にとって、政権交代は必ずしも好ましいものでは…

嫌中感情

小学生のとき、世界中の人が協力しあい理解しあうことが大切だと教わった。そのとき、そんな当たり前のことを大の大人が真面目な顔で言うのはどうかと思った。しかし、小学生でも自然に受け止められる当たり前のことが大人には非常に難しいようだ。日ごろ政…

小泉時代の終焉

小泉純一郎元首相が、次の衆議院選挙に出馬しないことを表明した。民主党の結成を機に議員辞職した細川護熙元首相をも思わせるような意外な引退ではあるが、その時期を得たことにはいつもながら舌を巻く。 郵政選挙の後、麻垣康三と称される候補者を競わせた…

京都議定書を廃棄せよ

先月の北海道洞爺湖サミットにおける最大のテーマは「環境」であった。十年前に京都議定書をまとめた日本で先進国の首脳が改めて環境問題と向き合うという構図はマスコミ受けもよかったし、何よりも首脳の記念撮影の背景にあった美しい洞爺湖は視聴者に訴え…

第139回 芥川賞選評

小説は、人間を表現する営みであるが、それは時間軸と空間軸を織り合わせて作られる。しかし、物事を時系列的に語ることが自然であるがゆえに基本的には一方通行の時間軸に対して、空間軸をどのように設定するかには無限大の可能性がある。そして、その空間…

原油高騰

原油の高騰が止まらない。WTI当限は6月27日、ついに142ドル。10年前は10ドル、去年の年初でも50ドルというところだから、ここまでの急騰は専門家の多くが予測できなかったのも当然だろう。 原油などのエネルギー商品は、商品市場における取引…

成田空港

今月、フィリピンへ行ってきた。就職してから5年余で8回目の海外旅行であり、休みをもらえるのは有り難いことである。 しかし、毎回、辟易させられるのは、羽田空港と成田空港の距離である。最近では、少しでも海外にいる時間を長くするため、勤務終了後す…

射雕両作

ひところの韓流ブームに続いて華流ブームが到来するのではと思っていたが、なかなかそうはならない。まあ、小さな韓国ではなく大きな中国の流行を語意とするのだから、華流が韓流ほど明確なアイデンティティをもっていないこともやむをえまい。そういう雑多…

自家用車

麻薬など一部の人の嗜好品や、偽装食品など欠陥商品であれば、マスコミはよってたかってその害を取り上げる。しかし、その商品が人々の間に浸透しており、それを取り除いた生活が想像しがたいとすれば、リスクを所与のものと考えてしまう。「一人を殺せば犯…

もはや経済一流ではない

国会開会時の所信表明演説(内閣総理大臣)、外交演説(外務大臣)、財政演説(財務大臣)及び経済演説(経済財政担当大臣)は四演説と称され、その内閣の方向性を示す極めて重い意味を有する(演説後に質問も受けずに辞任した首相もいたが)。大田弘子経済…

第138回 芥川賞選評

私小説の世界において、その小説の鍵を持つのは魅力的な脇役の性格を描ききっているかにあるように思える。つまり主人公は作者の人格に限りなく近い存在であることが多いが、それとともに不特定多数の読者の感情移入を受け入れる存在でもあるから、その個性…