2010-01-01から1年間の記事一覧

魚の天地

私が生まれ育った富山では、鰤(ブリ)をよく食べる。大根と一緒に味噌で煮込む鰤大根は私にとって定番の魚料理であったし、米の変わりにカブラを用いるかぶら寿司もよく口にした。フクラギから出世した鰤は脂が乗り切っており、これに匹敵する魚はないとい…

スポーツの秋・読書の秋

人に仕事のないときはいつも何をしているかと聞かれると、一週間を振り返り、われながらマンネリ化していることに呆れてしまう。「語学の勉強」という名目でひたすら海外ドラマを楽しんでいるだけなのだ。 たしかに私の現在の中国語と英語の語学力は、海外ド…

ラーメンと蕎麦

北海道の名物といえばカニ、ジンギスカンそれにラーメンあたりをイメージする人が多いのだろうか。しかし、カニは地元でもそうそう食べるものではないし、寒さに弱い羊は畜産のさかんな北海道ではあるけど不得手な食肉の一つである。 ご飯に味噌汁という合わ…

とらべるとらぶる

私の一番の趣味は年に一二度の海外旅行なのだが、一人旅ということもありこれまでにいろいろな事故に巻き込まれてきた。 インドでは(2003年)激しい食中毒に悩まされた。今思えば、ガヤの屋台で飲んだサトウキビジュースがまずかったのだと思う。ジュー…

第1の道

世紀末のブレア政権は、第3の道ということを唱えて世界の注目を浴びた。アリストテレスや演繹法や実存主義に連なる保守の論理を第1の道と定義し、プラトンや帰納法や構造主義に連なる革新の論理を第2の道と定義すれば、そうではない第3の道と言うこと自…

第143回 芥川賞選評

私が選評を書かなかった前回、芥川賞は該当なしであった。駄作ばかりだったから、選評を書く気になれなかったというつもりではない。しかし、綿矢りさと金原ひとみの同時受賞に味をしめて以来、この賞のノミネートが実力よりも話題性を意識するようになって…

小選挙区と比例区

与謝野馨と舛添要一が相次いで離党届を出した際、自民党は両者を除名処分とした。どこかの国の瀬戸際外交のごとく離党をちらつかせながら条件交渉を続けてきた舛添に党執行部の心証は著しく悪く、その除名は先に決まったものの与謝野には同情論がないことも…

ネット右翼

ネットが便利な世の中になり、私も新聞を購読せずYahoo!ニュースで済ませる毎日なのだが、ネットの双方向性というのだろうか、ニュースには読者がコメントを載せることができる。政治記事に寄せられるこのコメント、右翼の集まりかと思われるような過激なも…

闖関東

先月の連休に冬期休暇を足して5日間で中国東北を旅行した。ここ数年で3回目の中国となってしまったが、今回は自分の語学力を試す旅であり、また前二回とは大きく異なるものであった。大連を基点とした旅は、東亜の現代史の縮図を踏むことでもある。旅順を…

統帥権の独立と文民統制

統帥権の独立という言葉は、軍部暴走の代名詞となっている。軍部の気にくわない人間に組閣の大命が降下されても、軍部大臣現役武官制をタテに軍部が陸軍大臣の推薦を拒み、内閣そのものを流産させるという形での政治介入は大日本帝国憲法の下において頻繁に…

厳禁論と弛禁論

今年の大河ドラマ「龍馬伝」は、黒船の衝撃から物語が始まるが、より衝撃的な開国を強いられたのは中国の清だろう。むしろ清の開国から十年以上もの猶予を与えられた日本だからこそ、庶民の衝撃はともかくとして幕府が早期に開国の判断を下し、近代化への道…

沈まぬ太陽

ここでは、労働委員会に在籍していた頃から教材としていた作品であり、咋秋に待望の映画化が実現した山崎豊子の大作「沈まぬ太陽」のことを論じるのではない。恒例となった年末年始の旅行、今回はマグリブ(日の没する国)の西端モロッコからかつて日の沈ま…