違憲立法審査と参議院

yosuke0araki2004-02-20

 日本国憲法施行以来、最高裁判所は5種6件違憲立法の判断をした。尊属殺に通常の殺人罪とは不均衡な刑を科した刑法、森林の二分の一の共有持ち分を有する者による分割の請求を認めなかった森林法、距離制限規定により新規出店の認可を出さなかった薬事法、郵便局に民間運送会社とは不均衡な免責特権を与えた2002年の郵便法、それに衆議院一票の格差に関する二件の違憲判決である。
 衆議院における一票の格差がどこまで許されるかについて、通説は2倍だが判例は3倍であるようだ。これに対して、県ごとの選挙区であり半数改選の参議院では人口70万の鳥取県にも2議席配当しなければならず、一票の格差はこれよりも大きくても許容される。
 前回選挙について今年1月の判決は、そのグレーゾーンを示したものといえる。5倍の格差を15人中9人の多数意見で合憲としたものの、6人の反対意見の他、4人がこのままの状態で推移すれば次の選挙では違憲となる余地があるという補足意見を述べた。夏の参議院選挙までに定数改正されなければ5対10で違憲判決もあり得る。
 私自身の見解としては、参議院は地域代表であるべきだと思う。イギリスあるいは戦前の日本のような身分制の上院はありえないが、アメリカの上院が各州二名選出であるのは参考にしてもよい。しかし、それならば民意をより精密に反映させるため、残る衆議院の選挙は小選挙区比例代表の並立制ではなく、ドイツ流の併用制にするのが妥当だろう。
 今年の選挙に間に合わせろとはいはない。しかし、国会そのもののあり方を含めて参議院選挙制度改革に取り組み国民に説明する努力が見られないならば、違憲判決も仕方ないだろう。