ケータイ

yosuke0araki2004-02-21

 「携帯電話のご使用は周りのお客様のご迷惑となりますので、お控えくださるようお願い申し上げます」
 JR江差線の車内でアナウンスが流れると、いつものことではあるが不可解に感じる。どうして迷惑なのだろうか。
 第一に考えられるのは、運行機器に障害を与え交通事故の要因となる可能性である。飛行機内では、この理由でケータイの利用が禁止されている。一人のケータイの利用のために、乗客全員の生命を危険にさらすわけにはいかないから、この理由による禁止は容認できる。しかし鉄道における禁止はこの理由にはよっていない。
 第二に考えられるのは、喧しいということである。しかし車内は静粛であるべき場所ではないし、事実としてケータイを持たなくとも喧しい集団はよくみかける。以前は、会話の片方だけしか聞こえないので周りから変に写ったということ、電波が悪いため会話者が大声になりがちだったということがあるが、現在ではケータイはごく一般的になり、電波の状況も改善されたから、これも当らない。
 第三に考えられるのは、心臓ペースメーカーをつけている人についてである。しかし心臓ペースメーカーの誤作動はケータイと密着した状態でしか起こらないそうだ。だからこれが問題になるとしても都市圏の限られた線におけるラッシュ時だけ。江差線で禁止する必要はない。

 それにも関わらずケータイの使用を禁止するというのは、心臓ペースメーカーの関係者が圧力団体化しているということがあるからだと思う。命の尊さは誰しもが認めるところだが、それを歪曲化して、弱者の立場にあると見られている人が、社会的な影響力では強者になっている場合がよくある。地下鉄サリン事件の後、オウム信者の転入を阻もうとした地域住民と、付和雷同して転入届の受理を拒絶した役場の人権無視はその最たるものだろう。北朝鮮による拉致問題についても、現時点では極論することはできないが、一部の問題により国策を違えることのないよう冷静な議論が必要だろう。
 発信源の論調に流されずに情報を受け取るのは難しい。それを、常に心に留めておきたい。