新幹線の明日

yosuke0araki2004-02-28

 3月のダイヤ改正九州新幹線の八代〜鹿児島が開通する。平成10年の高崎〜長野、平成15年の盛岡〜八戸に続くこの新幹線でいよいよ整備新幹線が現実のものになった感がある。
 東北・北海道新幹線北陸新幹線九州新幹線のうちどれを優先して工事していくかが次の問題である。これには関係する自治体にとっては死活問題であり政治的な判断が必要である。また費用便益分析など最新の応用経済学の手法も必要である。だから政治的な経済的な、また技術的な知識も持たない私が論じるべきではないのかもしれないが、私は新幹線が将来どんな交通手段としての役割を担っていくべきかという視点から考えたい。
 そもそも1960年代に東海道をひかり号が走ったとき、それは大都市圏を結ぶというものであった。しかし、今やその役割は航空機が新幹線と共に担っている。新幹線には航空機にないよさもあるし、この役割を再強化していくという道もある。そうであれば、大都市札幌と連結する東北・北海道新幹線を優先すべきである。
 しかし今日では、新幹線は一部のエリートだけの乗り物ではなく、誰にでも身近な特急や高速道路のような存在になった。新幹線通勤・通学はその象徴的な例である。そうであるならば、より多くの人が利用できる路線を強化すべきである。つまり短距離に富山・金沢・福井という中都市がひしめく北陸新幹線を優先すべきである。
 さらに私は、それよりもフェリーとの連携ということを考える。海上交通は人の輸送手段としての地位になくなって久しいから一見これは時代錯誤のようである。しかし釜山と九州はジェットフォルでわずか3時間だし、ノルウエーとデンマークでは国際列車が列車ごと船に乗り込んで海峡を渡るという。こういう乗客の利便性をもっと高めていけば、北京と上海が新幹線で繋がる中国との連携も可能である。北京・上海・ソウル・東京を1つの新幹線網に組み込む。21世紀にはそういうことも有り得、そのためには九州新幹線こそ最優先だろう。
 肝心なのはどういうビジョンで新幹線を整備するかである。この国のかたちをつくる、そういう視野が新幹線の議論にはほしい。