支庁制度のあり方

yosuke0araki2004-08-15

 昨年の12月、檜山南部の合併協議会から熊石町が離脱するおり、その選択を許容する市町村合併のあり方自体に地域のエゴを感じた。その後の熊石町と八雲町の協議は進展し、来年にも合併するという。対等の新設合併ではあるが、新町名も役場所在地も八雲になる見通しであり、実質的には吸収合併である。
 さて、渡島管内八雲町と檜山管内熊石町の合併であるから、新町はいずれかに帰属しなければならず、協議会は渡島にとの要望を出している。仮にそうなると、檜山は熊石で南北に分断され、離島の奥尻と共に三つの地域の集合体になってしまう。人口たった5万人で3地域、これでは効率的な行政ができるとは思えない。
 戦後の人口の大移動にも関わらず見直されることのなかった支庁の枠組み、私はこれを市町村合併と並行して再編する必要があると考えている。渡島と檜山、釧路と根室などを一つにすることによって、地域全体を把握する支庁の権限強化がありえる。さらに単なる合併ではなく、現行の枠組みをばらすべき地域もある。例えば、天塩・幌加内・中川はともに稚内に近い地域であるがそれぞれ留萌・空知・上川の管内になっている。縦長の区割りはそれぞれに鉄道と幹線道路があってはじめて成り立つ。平行するインフラを非効率だと切り捨ててきた経緯は、縦の区割りとの整合性を持たない。
 支庁制度を考える上で大きな障害となっているのは、支庁を府県に擬すという捉え方である。つまり本州における府県の数倍に及ぶ面積規模を持つ北海道であるから、府県に相当する部分を管轄する機関を設置する必要があるというものだ。道州制の問題でも感じることだが、この捉え方には北海道が他の府県よりも一段高いところにあるという思い上がりが見え隠れする。
 憲法解釈上は別としても、遍くどの地域も広域自治体であるいずれかの府県の所管にあるべきである。しかし本庁を補足するというのが支庁の役割なのであるから、道内の全ての地域がいずれかの支庁に所属する必要はない。小樽・岩見沢・苫小牧などの地域は札幌圏内なのであり、このように本庁から行き届く地域には支庁を設置しないという考え方もありえる。これを極論するなら、根室・宗谷・檜山の三支庁のみを存続させて他を廃止するという案にもなるだろう。支庁が中核都市や特例都市にある必要はないのだ。
 重要なのは、どういう役割を支庁に求めるか。それによってありうべき支庁の枠組みはおのずから定まる。