J.W.ブッシュ再選

yosuke0araki2004-11-14

 アメリカの大統領選挙は四年に一度。閏年及びオリンピックと重なる。1944年にF.ルーズベルトが3選して以来、トルーマン(民主)、アイゼンハワー(共和)、アイゼンハワー(共和)、ケネディー(民主)、ジョンソン(民主)、ニクソン(共和)、ニクソン(共和)、カーター(民主)、レーガン(共和)、レーガン(共和)、大ブッシュ(共和)、クリントン(民主)、クリントン(民主)、小ブッシュ(共和)、小ブッシュ(共和)が当選した(ルーズベルトケネディー両大統領の死去とニクソン大統領の辞任に伴いトルーマン・ジョンソン・フォードが副大統領から昇格している)。第二次大戦においてヨーロッパ戦線の連合国軍最高司令官として米軍を勝利させた英雄アイゼンハワー以降、ブッシュまでに再選された大統領は、わずかに3人。いずれも1期目は現職を破って就任し、2期目は野党候補に圧勝している。
 ブッシュの2度の選挙は趣を異にしている。2000年の対ゴア副大統領戦はフロリダで、2004年の対ケリー上院議員戦はオハイオでの票が確定せず当選が持ち越されるという薄氷ぶりだ。特に2000年には、一般投票では20万票もゴアが上回っていた。フロリダにおいても500票差でブッシュ勝利ということになったが、選挙人登録を巡って1万もの無効票が発生しており、無効票の多くが民主党支持者であるマイノリティーと見られることから、数え直しをすればゴアが当選した可能性が高かったとみられている。アメリカには選挙管理委員会のような中立の機関はなく、フロリダの選挙責任者はジョブ・ブッシュ知事。
 もちろん、2000年選挙の任期はもうすぐ満了するのであり、いまさら蒸し返すのはナンセンスである。しかし、4年後の今日、アメリカはまた真っ二つに分断された。アメリカがなぜ分断したのか、それはブッシュ大統領の1期目への評価が分かれたからに他ならない。このことを大統領には重く受け止めてほしい。また、現在の憲法では三選は禁止されているのであり、ブッシュに次はない。だから歴史に名を残す他には目標になりえることはない。歴史書を愛読するブッシュ大統領が最近、関心を示すのは鉄血宰相ビスマルクビスマルクデンマークオーストリア・フランスとの戦争に勝利してプロイセンドイツ帝国に発展させた後は、ベルリン会議を主催するなどして、列強間の勢力均衡と協調・安定に力を注いだ。後世の肯定的な評価を得るためには一国主義は許されないはずだ。今からでも遅くない。レーガンクリントンが政権末期にしたような世界平和の旗手としての役割を担ってほしい。いずれにしろパウエル国務長官の退任とラムズフェルド国防長官の留任が噂される閣僚人事が2期目の方向性をみる上で一番の注目である。
 それにしても不可思議なのは、日本政府のブッシュ支持一辺倒である。たまたまビン・ラディンの薮蛇的な犯行声明のために直前にケリーが支持率を下げたからいいようなものの、民主党政権交代を実現していたらどうするつもりだったのか。だいたい現政権の日米同盟重視や首脳同士の信頼関係というのは分からないでもないが、中東の政情不安定が日本にとってどれだけのリスクになっているのだろうか。国連安全保障理事会の改革、WTOあるいは京都議定書などの国際的な協調により次の世代に地球を引き継いでいこうという潮流が、超大国の一国主義によってどれだけ妨げられているのだろうか。そういうことを考慮に入れても、英語を軸としたグローバルスタンダードの世界を具現化した方が自国にとってメリットが大きいというイギリスの事情と日本は違うのだ。逆走するバスに乗るよりも、乗り遅れる方がマシだと私は思う。