NHK語学講座

yosuke0araki2005-03-12

 私にとっての最初の語学講座は、中1のときの基礎英語であった。毎朝6時に起きるというのは容易なことではなかったが、学校の英語は全然できない私が何故かラジオ講座だけは継続できた。中2のときにはテレビの中国語会話を視聴するようになった。1991年、陳真老師の最後の年であった。まだ天安門事件の余韻覚めやらぬ時期で、画面に写る中国の風景が日本のどの田舎にもない野暮ったさに溢れていたのが印象に残っている。しかしこの十数年に、中国の風景は一変した。いや世界中の風景が一変した。めまぐるしく変動していく世界の中で、私は本当に成長することができているのか、脾肉を嘆じてしまう時もある。
 語学講座そのものも一変した。2001年フランス語会話井川遥が起用されて以来、2002年には仲根かすみ(仏)・吉岡美穂(伊)・ユンソナ(韓)らが、2003年には加藤夏希(英)・長澤奈央(西)・金田美香(露)・清水ゆみ(中)らが、2004年には杏さゆり(英)・山本梓(韓)らが起用された。2005年にはアイドル路線はひとまず終息し、そのことに私は不満ではあるのだけれども、語学講座のハイカラな雰囲気は後退することはないだろう。今年度に引き続いて来年度もオールテレビ講座を視聴していこうと思う。
 月曜夜は11時から30分間づつ中国語、フランス語、イタリア語、ロシア語(前期)・アラビア語(後期)の順に放送される。早寝早起の私にとって深夜1時まで起きているのは尋常なことではないのだけれど、アルコールを口に含みながら睡魔を乗り切る。火曜から金曜まで11時から10分間は英語の基礎コース、火曜から木曜までそれから20分間は英語の応用コース。火・水・木の11時半から30分間は、それぞれハングル、ドイツ語、スペイン語が放送される。
 NHKはカジリンガルというキャッチフレーズを用意しているけれども、そうやって幅広い講座に触れることによって、一つの外国語の習得からは見えなかったものが見えてくることがある。例えば、フランス語・イタリア語・スペイン語の共通性の大きさは驚きだった。英語とドイツ語の類似点というのが指摘されることが多いけれども、ラテン系の類似の方が大きいだろう。いずれもローマ字というだけあって、それらは日本人に馴染みのあるアルファベットの読み方をすることが多いのだけれども、洗練されたフランス語、親しみやすいイタリア語、力強いスペイン語というように多様な性格をも持ち合わせており、そのお国柄を感じさせられる。
 私が語学講座のために消費する時間は週あたり5時間以上になるわけだが、それは地方公務員として大切な投資だと考えている。国家主権の相対化という意味で地方分権は国際化とは切り離せないものであるにも関わらず、日々の業務だけではローカルな思考に慣れてしまうおそれがある。語学を窓としてグローバルな世界を見つめていくことで、この混沌とした未来に生きていく光を得られると思うのだ。だから、語学はきっかけに過ぎない。世界の文学、歴史、思想・・・。こういうものに触れていくための好奇心を大切にしていきたい。