朝の連続テレビ小説

yosuke0araki2005-09-23

 朝の連続テレビ小説の視聴率が低迷している。昭和58年度「おしん乙羽信子で52.6%を記録したものの、平成3年度前期「君の名は」鈴木京香ではじめて30%を下回った。そして最新の3作である「てるてる家族石原さとみ、「天花藤澤恵麻、「わかば原田夏希は続けて視聴率20%をも下回っている。来週で最後となる「ファイト」本仮屋ユイカも初回から低迷しており4作連続での10%台は確実な状況だ。
 しかし、朝ドラの低迷とは対照的に、出身女優の活躍には目をみはるものがある。石原さとみ以前のヒロインは、新しい方から順に中越典子宮地真緒高野志穂池脇千鶴国仲涼子岡本綾田畑智子竹内結子となっている。既に名の通った大物女優を起用するわけでもないのに、ヒロインがことごとくそれ以降もこの世界に残っていけるというのは脅威的なことである。
 私自身について言えば、高校生のとき友人に薦められた「ぴあの」純名里沙が最初の朝ドラであった。しかし朝ドラはそれからしばらく模索期にあたり、そうこうするうち、京都の予備校時代はテレビ持ち込みが禁止されていたし、法学部生の頃の寮はあまりテレビを見るような空気ではなかった。ようやくテレビと身近になった農学の院生の頃は夜型が定着して朝の時間は眠りの只中だった。そして、今年で3年目を迎える檜山支庁勤務は朝ドラには絶好の生活環境。8時15分から30分までテレビの前でゆっくりして、それから出勤すれば45分の始業には充分間に合う。あまり人気はなかったけれども「天花」はよかった。中学生のときに住んでいた仙台の街並みと藤澤恵麻の笑顔を見ながら農業や教育について考えるということは、寝ぼけたままの脳や心にとてもよい刺激となった。
 そういう自分に照らして省みれば、昨今の朝ドラの低迷はヒロインやストーリーに帰せられるというよりは、朝ドラの時間帯が日本人のライフスタイルに合わなくなってきているのではないかと感じられる。通勤時間が長くなれば、その分早く家を出なければならず朝ドラの時間は電車の中だ。夫を送り出した後の妻が家事の合間に見ていたという家も多いだろうが、女性の社会進出にともないそういう専業主婦は少なくなってきている。フレックスタイム制の導入やフリーター化により変則的な勤務形態になった人も多くなったのではないだろうか。朝ドラは、週に何回かだけしか見られないのでは続かない。そして、最も大きいのは生活全体が、概括的にではあるが夜型にシフトしつつあるということ。深夜にはコンビニもあればインターネットもあり、暇だから寝るしかないという時代とは隔世の感がある。
 そういうライフスタイルの変化によって朝ドラを見なくなった人への受け皿としては再放送がある。毎日昼間というのではなく、ゴールデンタイムに近いところに週一で枠を設けることで、彼らに対応できるだろう。そういう時には、もちろん火曜からの分のオープニングと木曜までの分のエンディングをカットするといった細かな気配りも必要になる。だから、キャストのタイプを変えるだけでは抜本的な打開策にはならないと思う。アイドル路線は「風のハルカ村川絵梨と「純情きらり宮崎あおいで一旦終了。その次は「芋たこなんきん藤山直美、私は見ないと思う。