シルクロードの旅

yosuke0araki2005-11-25

 旅行好きな私に時間と資金があれば、ぜひ一生に一度でもやってみたいのがシルクロード横断である。シルクロード!何という浪漫あふれる呼び名であろうか。東洋と西洋を結ぶ世界の幹線であったこの路を辿ることは、そのまま世界の歴史を辿ることである。
 日本からの旅路は中国、中央アジア、イラン、トルコ、東西ヨーロッパの順に続く。このうちヨーロッパについては、社会資本としての鉄道も充実しており、英語の普及率も高くそれほど困難な旅とはならないだろう。もちろん人が集まるところに必ず犯罪はあるのであり、旅人としての最低限の注意を怠ったならば後悔先立たぬことになるけれど。イスタンブール・ウイーン・パリそしてロンドンという最短コースを始めとして多様な鉄路が選択できる。ただ物価が高いため、どの都市も私なら長期滞在は避けよう。
 旅の形態が点から線に変わると途端に難度が上がるのが中国。ビザはすぐ取れるとしても、軟臥や軟座の切符は始発駅でも長蛇の列で取りにくい。歴史の国であり名所満載なのだけれど、シルクロードの旅の途上では日本からのフェリーが着く上海・かつての花の都であった西安カザフスタンへの国際列車が発つウルムチの三都市を軸に近郊を周遊するしかないだろう。もちろん、それでも華南・華北・西域のそれぞれの主要なスポットの幾つかを巡ることはできるし、沿岸部から西部へと現代中国の発展の軌跡を遡ることもできる。
 西アジアではイラク政情が不安定なため、当分の間はイラン・トルコの国境を越えることになろう。EU加盟が取り立たされるトルコとは異なり、アメリカに反発するイランはテロ支援国家に指定され、旅することが困難な国だと思う人が多いだろう。しかし、輸送機関を始めとする物価の安さ、社会資本や文化遺産などの蓄積の豊かさ、対日感情や治安のよさなどどの観点から見ても申し分のない条件が揃っている。ただ一点、買春は論外としてエロ本をうっかり持ち込むと宗教上の理由から深刻な事態に陥りかねないので注意が必要だが。
 中央アジアは、旧ソ連から独立したCIA諸国により構成される。その中心はウズベキスタンであり首都タシケントの他、サマルカンド・ブハラなどの街がある。東からだとカザフスタンの旧都アルマトイを経由する他、中国カシュガルからキルギスの首都ビシュケクを経るバス路線もウズベクに通じる。ソ連崩壊後、これらの国の出入国手続きは非常に容易になったけれども例外はトルクメニスタン。ロシアと同様なバウチャーシステムを復活させたため自由な旅はできなくなった。とりわけアシュガバード・マシュハド間のイラン国境は難しいらしい。
 以上から、中央アジアを除いては、今の私の能力でもさして困難な旅にはなるまいと考えている。まあ、私に時間と資金の両方が揃うことがあっても、それはおそらく数十年後であり、世界情勢はすっかり変わっていることだろうが。