ポートフォリオ

yosuke0araki2006-04-14

 バブルの頃を凌ぐような投資ブームが到来している。銀行でさえ貯蓄よりむしろ投資信託を勧めるし、書店では株式に関連する本が山積みになっている。こういう世の流れに対して、当然ながらバブルの再来と警鐘をならす人もいる。絶えず、経済が間違った方に向かっていないか疑問を投げかけるという思考は、とても大切なことではあるけれど、私自身はこの疑問が当たっていないと思う。
 それは、世界経済と比較すると未だ日本株式は割安な水準にあるからである。平成元年の4万円近い終値は、さすがに高すぎたけれども、あとから振り返っても2万円の実力はあったように思う。それから16年、まだ2万円には届いていない。日経平均が銘柄入れ替えをしたことを差し引いても、従来の指標で2万5千円には届いていないだろう。その間にBRICsなどが台頭してきたけれども、私が特に注目するのは米国の株価が10倍に膨れ上がっているということである。米国が、唯一の超大国になったのは事実だけれども、途上国ならいざしらず、先進国においてこれだけまで株価が高騰するのは、米国バブルの一言では片付くまい。貨幣価値が株価と比較して相対的に低下したということであり、企業価値を正当に評価すればそれは日本にも波及しよう。
 他方で私は、大流行のデイトレードは強い違和感を覚える。一日や二日で企業価値が変わるべくもなく、限定された時間の枠内だけで売り買いをするのはゼロサムゲームに過ぎない。今のように、相場全体が上げているときには、それほど表立つことはないだろうけれど、○○ショックが深刻なものになるとデイトレーダーがパニックの元凶になりかねない。そうした意味で、ライブドアという会社を私は結構好きだったけれども、ライブドアと共に多くのデイトレーダーが退場したのはやむをえなかったと思う。
 長期的な運用というのは、さわかみファンドが有名だが、真新しいことではなくごく当然のことである。ただ、その理念に沿ったとして、実際にどういう銘柄選定をしてどういうタイミングで売買するのかが難しい。私の場合には、まず青写真としてのポートフォリオを作成し、半年50万円づつ増資しながら、数年かけてそのポートフォリオを完成させていくという手法をとっている。これならば、上げ相場では資産価値が増えるのでとても嬉しいし、下げ相場でも証券取得費用が減るのであまり悲しくない。社会主義国の5ヵ年計画のようではあるけれど、時流に惑わされない投資の手法だと自賛してしまう。

 NHKアーカイブスで視聴した1989年末のニュースが、頭から離れない。東証をバックに記者は、旺盛な内需に引っ張られた市場は来年も続くと話していた。未来からみれば、浮かれすぎなのだけれど、渦中にいては見えなくなるものなのだ。そういう経済を生きるために必要なのは、風評に流されない自分なりの相場観を持つことだけだと思う。