47都道府県の旅

yosuke0araki2006-11-26

 最近では、暇と金があれば海外へ出かけるようになり、国内旅行はおろか帰省さえもめっきりしなくなったが、法学部生の頃は長い休みの度、帰省にかこつけて青春18切符で旅行したものだった。
 仙台や京都に住んだことがあったことがあるとはいえ、専ら北陸で生まれ育った私が始めて北海道の地を踏んだのは96年3月の大学受験のとき。97年12月は四国、98年8月は山陰、99年3月は九州北部、2000年12月は九州南部、2001年1月は沖縄へと五次にわたり未踏の地であった西日本に遊んだが、その他の学期末や年末年始にも必ず見知らぬ土地を訪ねることができた。その結果、行ったことがある都道府県は47。夜行列車が10分程度停まったのを幸いに駅前に佇んだだけの徳島県大歩危駅も数に入っているから、一概に数だけ自慢できるものではないけれど。
 そういうわけで、私と各県との関わりは、全てゼロではないにしろ、濃淡様々であるから、どこが一番良かったかなど訊かれても途方に暮れてしまう。15年近く住んだ富山と10分途中下車した徳島が比較対象にならないのは当然だろう。しかし、あえて類型化するならば、江戸期の城下町で、空襲にもあわず、政令指定都市として現代の潮流に乗ることもなかったような都市は、どこでも美しい。金沢・松江を始めとして、史跡から菓子に至るまで文化を感じられる街が多いので、訪れるだけで心が穏やかになるのだった。ただ、話のネタとしては傑出しているのが高知はりまや橋。がっかり名所といえども、道路の幅より短い欄干が排気ガスに塗れているだけというところまで極めると、逆に度肝を抜かれる。
 ところで、私が国内で貧乏旅行ができたのは夜行快速列車の存在のおかげだったが、ここ数年のうちにダイヤ事情は厳しくなってきている。札幌・函館のミッドナイトが廃止されて急行に置き換わるなど、快速列車の廃止や運休が相次いでいるのだ。たしかに近年ではネットカフェが盛況であり、そういうところで夜を過ごせば貧乏旅行そのものは可能だけれど、札幌から福岡まで夜行列車と昼行列車の乗り換えだけで行くことができたときの達成感にはやや見劣りがする。大垣夜行の席とりバトルも、全席指定で今は昔のこと。また内地に出かける予定があるわけでもないのに、闇雲に懐かしがるのはどうしたものかと反省はするものの。