簿記検定

yosuke0araki2006-12-09

 昨日、日商簿記の合格発表があり、私は3級に合格した。もっとも、商業高校であれば2級程度の知識は習得できるわけだし、国税専門官であれば税務大学校における初任者研修の数ヶ月で2級に合格しなければならない。だからまだ、3級に合格し、まだ2級試験範囲の授業を半分ほどしか受講していない私は、簿記の世界では見習い以下であり、一人前の議論をするのは憚られるのだけれど。
 私は今、平日の退庁後週4回のペースで大原簿記情報専門学校へ通っている。私が富山市立呉羽中学校に在学しているとき、中学校の隣に大原ができたので、学校名に馴染みはあったが、今まで簿記という学問にはあまり魅力は感じなかった。お金の動きをただ記録するだけでは、裁量の働く余地はなく単調なだけであると。しかし、3級1万円の安物買いで受講するようになって、やはり食わず嫌いはよくないということを改めて認識した。
 それは、北海道大学法学部に入学して、初めて法律を学んだときと似た衝撃であった。教室での学習そのものは、明快な論理の習得なのであり、単調で楽しくはないのだが、それを学ぶことによって社会全体を別の視点から見ることができるようになるのである。例えば、借方に資産と費用を、貸方に負債と資本と収益を記録することによりはじめて、従業員を会社の資産とみるか費用とみるかの経営哲学がいかに微妙なものかに気が付かされる。財布に手を当てて、この中身が貸方三つのどれに由来するのか考えるだけで、資産設計にまで思考は巡る。概念の習得により、現実の社会や自分自身について考える観点をもつことができるのだ。
 法学部の4年間、私は怠惰な学生だったが、法律相談室というサークルで生きた法の問題に触れることができたのは、貴重な経験だった。今、私は株式や投資信託を通して、いくつもの会社や不動産を所有している。簿記を現実に、これらの財務分析に生かしたいというのが私の当面の学習目標である。その先にあるのは英文会計BATICだろうか。いずれにしても、安物買いの銭失いで、3級1万円の簿記講座の行方は随分と高くつきそうである。