PER・PBR・25日線

yosuke0araki2007-02-24

 先月末、私は資産を、①日本株式、②日本不動産、③外国株式&商品、④外国為替に四分割するポートフォリオの大幅な入れ替えを実施した。①については、北陸&北海道の景気に連動するほくほくホールディングスのみを現物で保有し、電気機器とベンチャー企業投資信託で銀行株を補うこととした。②については、オフィスビル・商業施設・住宅の複合型であり、北海道に所縁のある新日本製鉄王子製紙が設立したトップ・リートを選択した。③については、ロシア東欧、インド、チャイナ、エマージング、グローバル好配当に2つのコモディティーを加えた7つの投資信託が均等額になるよう増資していくこととした。④については修士論文で取り上げたこともあり、高金利通貨の代表格でもあるニュージーランド・ドルを選択した。年50万円づつ増資していくにしろ、型は決まったから、これで当分は銘柄入れ替えもなさそうである。

 ところで、このように枠組みを決めてから投資することができるのは、私が既に200万円以上の資本を運用できるようになっているからである。だからこれは、ボーナスを原資にこれから投資を始めようという人には不向きである。そういう人には、PER・PBR・騰落レシオの三つの指標を参考に、自分の身近な株式を取得するよう勧めたい。
 配当比率は指標としてどうだろうか。預金や債券なら利子の高低が最重要なのであるから、株式でも配当の高低が気にかかるのは当然である。しかし、株式の債券との決定的な相違は、企業の内部留保分も株主の所有物であり、それは上場していることによる株価の変動により株主に還元されることになるのである。例えば金利2%のときに、甲社の株式100円100株つまり1万円分を購入したとしよう。甲社が11%の収益をあげ、1%だけを配当した場合どうなるか。金利>配当なので、そこだけみれば投資価値はないのだけれども、収益のうち10%分は企業が内部留保するため、企業価値ひいては株価が110円まで上昇することになる。ここで9株を売却すれば、110円91株つまり1万10円分の株式を保有した(10円の株式評価益を得た)上で、100円の配当利益と990円の株式売却益を得たことになる。つまり株主にとって重要なのは、今はやりの高配当ファンドが言うような配当の高低ではなく、収益の高低なのである。
 PERは、時価総額損益計算書上の収益で割った数値である。時価1億円の企業が1年に1000万円の収益をあげれば、1億円÷1000万円=PER10倍ということになる。もちろん数値が小さければよいのだが、日本の上場企業の平均PERは約20倍。既に欧米諸国と比較しても割高になっていることは否めない。私は投資対象とするときは15倍以下になっていることを凡その目安としている。
 PBRは、時価総額貸借対照表上の資本で割った数値である。これが1倍未満つまり時価総額よりも資本(=資産−負債)の方が大きい場合、理論上は、会社を清算して残資を株主に分配した方が合理的ということになるが、市場にはPBR1倍未満の会社も散見される。この数値も小さければ割安ということになるのだが、日本の上場企業の平均PBRは約2倍、私は投資対象とするときは1.5倍以下になっていることを凡その目安としている。
 25日線は、直近25営業日における株価の平均線を示す。これよりも株価が高ければ上昇傾向にあり、これよりも株価が低ければ下降傾向にある。騰落レシオを基準に売買した場合、短期的には高値で買って低値で売ることになりかねないが、株価にはトレンドが持続する性質があり、多くの人が損切りできないことに照らせば、騰落レシオの上で買って下で売るというのも有効な投資手法と思われる。
 PER・PBR・25日線。投資家への情報開示の潮流と相まって雑多な情報が氾濫しているが、私はこの3つの指標さえ理解できれば、初心者でも投資による利益を十分に得ることができると考えている。もっとも3つの指標それぞれと会社への感情移入にどう折り合いをつけるか、それはそれで難しかったりするんだけど。