2005-01-01から1年間の記事一覧

地方交付税交付金

国庫支出金と地方交付税交付金の削減を、国から地方への税源委譲と同時並行的に推進しようというのが三位一体改革である。国が地方を財政的に制御するのをやめて、地方が自主財源をもって自主的に行政運営をすべきだという議論だ。 しかし、私には地方交付税…

省庁のキャリアシステム

閣議は毎週金曜というのが慣例になっているが、その前日の木曜に事務次官等会議が開催されることになっている。各省の事務次官の他、警察庁長官が参集するため「等」となっているこの会議の招集権者は、内閣官房長官であるが、実質的には事務方の官房副長官…

印象派

印象派という名称はモネの「印象・日の出」という作品に由来する。絵画にとどまらず、クラシック音楽や文学にまで波及して19世紀ヨーロッパ(特にフランス)において一世を風靡したという。 複数のジャンルを一括りにするのは私のよくやることだが、印象派に…

観光のくにづくり

北海道において教条的に唱えられるのが「本州と同じ画一的な街づくりではなく北海道の持ち味である農業と観光を生かした地域づくりをしていく」論である。私は農学修士であり旅行業務取扱主任者の有資格者でもあるが、この両者に可能性を見出すことはできな…

領土半減の経済

世界史を紐解くとき、その国の領有する土地が最大になった時代を必然的にその国の繁栄期として見ている。戦争に敗れ、その領土を他国に奪われたならば、それは最も象徴的な衰退の印だと考えてしまう。 しかし、個別の例を見るとそれは必ずしも定理になりえな…

バブル経済

バブル経済というとき、1980年代後半のジャパン・アズ・ナンバーワンと称された時代を想起する人がほとんどであろう。しかし貨幣経済が実体経済から乖離するというのは特殊な現象ではない。古くは18世紀初頭のイギリスにおいて南海泡沫事件があった。…

総合的な学習の時間

生きる力を育むという大テーマのもとでの学習指導要領が実施されたのはH14年度からである。しかし、文部科学省は脱ゆとり教育への舵を切っている。猫の目行政と揶揄されるところではあるけれども、「ゆとり」が中央教育審議会で提言されたのは30年近く前…

史記の世界

岩波文庫の青色で刊行されていた史記を読み始めたのはまだ小学生の頃だったから、私と史記の付き合いはもう20年近くになる。日本の弥生土器を郷土博物館などで見る度に、その同時代である史記のスケールの大きさに嘆息したものだった。昭和天皇の崩御のと…

法科大学院

法科大学院(ロースクール)が開校してから1年がたった。今のところ、予習を前提とした濃密な授業の過程でリーガルマインドを涵養するという本来の趣旨はある程度まで具体化しているようである。しかし、何といっても法科大学院の試みは始まったばかり。ま…

日・中・韓の領土問題

中国との尖閣諸島の問題、韓国との竹島問題が教科書における記述と相俟って関係を険悪なものにしている。しかし中国・台湾、韓国そして日本政府の主張はいずれもバランスのとれていないものである。もちろん外交とは、世界の普遍的な公正を構築することでは…

地震と私たちの文明

地震・雷・火事・親父というけれども、昨年末は地震の恐怖を実感することとなった。2度目となる震度7を記録した新潟中越地震と、30万人もの死者を出したスマトラ沖地震。この両者は、奇しくも10周年にさしかかっている北海道南西沖地震と兵庫県南部地…

六条花の院

最近、角川文庫「ピノッキオの冒険」を読んだ。欧米の文学に触れるのは、中学生のときに岩波文庫「モンテクリスト伯」以来だから、実に十数年振りということになる。たまには、見知らぬ土地を旅するように、見知らぬ感覚の文学の世界を彷徨うのも悪くはない。…

韓国旅行

春分の前後の5日間を利用して韓国旅行をした。台湾・ニュ−ジ−ランド・インド・イギリス・仏独伊周遊に続く6回目の海外旅行は、ソウルを起点及び終点として、百済の都であった泗比・熊津、新羅の都であった慶州を巡るというものであった。見所をはじめ宿泊…

六大古都

中国の歴史には小さい頃から興味があったけれども、六大古都という言葉は最近になって知った。旅行主任の受験勉強をしているときのことだった。 この古都の中では抗州が見劣りする。南宋という地方政権の都になったに過ぎない抗州は、蜀に群雄が割拠する度に…

NHK語学講座

私にとっての最初の語学講座は、中1のときの基礎英語であった。毎朝6時に起きるというのは容易なことではなかったが、学校の英語は全然できない私が何故かラジオ講座だけは継続できた。中2のときにはテレビの中国語会話を視聴するようになった。1991…

南セントレア市

愛知県知多郡の美浜町と南知多町の合併については、法定協議会において一旦は新市名が決定したものの全国からの批判の嵐によって撤回。市名は住民投票で決定されることになったものの、合併そのものが否決され、今までの騒ぎは何だったのかということになっ…

総合芸術としての茶道

この頃、海外旅行などで外国人と知り合う機会が随分と増えた。会話が弾めば当然、日本ネタの提供が求められる。そういう時の私の持ち駒の一つが茶の文化である。もっとも茶に注目するというのは私のオリジナルではない。古くは岡倉天心が「茶の本」の中で日…

十三湖と十二館

檜山郡上ノ国町は北海道の歴史の発祥の地であるという。檜山支庁の職員としては残念ではあるけれど、これは正しくはない。北海道の歴史が松前藩に始まり、松前藩の歴史が上ノ国町に始まるのだけれども、この二つの事実は連動してはいないのである。このこと…

通貨¥のゆくえ

今年の元旦、トルコでは旧100万リラを新1リラとするデノミネーションを実施した。これで1リラは約75円となり、ユーロとは1対2程度で取引できることになる。EU加盟を志向するトルコにとって、それを経済面で後押しする決断だったといえる。 かたや…

大河ドラマ義経

歴史の浅い北海道はNHK大河ドラマの舞台となったことのない稀有の地域なのだが、奇しくも私の住んでいる檜山郡江差町に縁の作品が続くこととなった。新撰組の副長だった土方歳三は近藤勇斬首の後、榎本武揚と共に蝦夷地に渡る。彼らにとって戦いの切り札…

女帝論議

皇室典範の改正がにわかに現実味を帯びている。女性天皇を認めるかどうか、秋には方向性を示すことになるという。 この議論は、イメージばかりが先行して、肝心の点が疎かになっている非常に危険なものだと私は考えている。確かに、男女平等の現代において皇…

日本の戦争責任

12/8真珠湾、8/6ヒロシマ、8/9ナガサキ、8/15玉音放送というのは、日本人の常識だろう。しかし日本が太平洋戦争に突入したのが7/7がだということは、意外に知られていない。昭和12年のこの日、北平(北京市の旧称)近郊で対峙していた日中両軍…

第132回 芥川賞選評

つねづね、選考会前に選評をしたいと思っていたが、今回ようやくできそうだ。私の見方が13日(木)築地・新喜楽での発表と比較してチンプンカンプンであれば、この稿はその日以後は甚だ格好の悪いモノになるんだけれど。その前に、より多くの人の目にこの稿…