小泉時代の終焉

小泉純一郎元首相が、次の衆議院選挙に出馬しないことを表明した。民主党の結成を機に議員辞職した細川護熙元首相をも思わせるような意外な引退ではあるが、その時期を得たことにはいつもながら舌を巻く。 郵政選挙の後、麻垣康三と称される候補者を競わせた…

京都議定書を廃棄せよ

先月の北海道洞爺湖サミットにおける最大のテーマは「環境」であった。十年前に京都議定書をまとめた日本で先進国の首脳が改めて環境問題と向き合うという構図はマスコミ受けもよかったし、何よりも首脳の記念撮影の背景にあった美しい洞爺湖は視聴者に訴え…

第139回 芥川賞選評

小説は、人間を表現する営みであるが、それは時間軸と空間軸を織り合わせて作られる。しかし、物事を時系列的に語ることが自然であるがゆえに基本的には一方通行の時間軸に対して、空間軸をどのように設定するかには無限大の可能性がある。そして、その空間…

原油高騰

原油の高騰が止まらない。WTI当限は6月27日、ついに142ドル。10年前は10ドル、去年の年初でも50ドルというところだから、ここまでの急騰は専門家の多くが予測できなかったのも当然だろう。 原油などのエネルギー商品は、商品市場における取引…

成田空港

今月、フィリピンへ行ってきた。就職してから5年余で8回目の海外旅行であり、休みをもらえるのは有り難いことである。 しかし、毎回、辟易させられるのは、羽田空港と成田空港の距離である。最近では、少しでも海外にいる時間を長くするため、勤務終了後す…

射雕両作

ひところの韓流ブームに続いて華流ブームが到来するのではと思っていたが、なかなかそうはならない。まあ、小さな韓国ではなく大きな中国の流行を語意とするのだから、華流が韓流ほど明確なアイデンティティをもっていないこともやむをえまい。そういう雑多…

自家用車

麻薬など一部の人の嗜好品や、偽装食品など欠陥商品であれば、マスコミはよってたかってその害を取り上げる。しかし、その商品が人々の間に浸透しており、それを取り除いた生活が想像しがたいとすれば、リスクを所与のものと考えてしまう。「一人を殺せば犯…

もはや経済一流ではない

国会開会時の所信表明演説(内閣総理大臣)、外交演説(外務大臣)、財政演説(財務大臣)及び経済演説(経済財政担当大臣)は四演説と称され、その内閣の方向性を示す極めて重い意味を有する(演説後に質問も受けずに辞任した首相もいたが)。大田弘子経済…

第138回 芥川賞選評

私小説の世界において、その小説の鍵を持つのは魅力的な脇役の性格を描ききっているかにあるように思える。つまり主人公は作者の人格に限りなく近い存在であることが多いが、それとともに不特定多数の読者の感情移入を受け入れる存在でもあるから、その個性…

川中島の戦い

NHK大河ドラマは、今週の川中島における山本勘介の討ち死にによりクライマックスに達する。この川中島の戦いこそ、戦国の世に数ある合戦の象徴的な存在であろう。時代の転換点としては、その前年にあった桶狭間の戦いや小田原城攻めに大きく劣るものの、…

瀬戸内源氏

私がはじめて源氏物語にふれたのは富山中部高校の古典の時間。京都にいた浪人時代の与謝野晶子にはじまり、20歳前後には何人もの訳者の源氏を通読したものだった。そして30になった今年、たまたま文庫本が発刊された瀬戸内寂聴の源氏を読んだ。 どんなに…

NOVAの破綻

NOVAが破綻した。私は、5月にレッスンを終了してボイス会員という利用者であるが、数万円分のボイスチケットの債権者でもある。 仕手筋の関与が指摘された今年9月の切り返しなどはあったが、NOVAの株価は3年前の525円から破綻後の10円台まで…

琴似の風景

琴似を生活の拠点とするようになってから、早一年半も経とうとしている。琴似は、住み始めたときから懐かしく感じられる街だった。たしかに琴似を中核とする札幌市西区は、富山市や函館市と同様に人口20〜30万人規模である。しかし札幌の衛星としての役…

教育の標

私は、北海道の発展のためには製造業の強化こそが大事であると考えている。そして、ハード面では独自の通貨と税関を持つこと、ソフト面では教育の再建こそが、そのためには不可欠と考えている。 ただ前者には天の時を得る必要があるのだから、各界を挙げて不…

企画と管理

組織体は、個々の人間が結集して特定の目標に向けて邁進していくものなのであるが、その過程で必然的に組織内部における対立を孕むことになる。内部における対立の調整に消耗して外向性に欠けるのは論外として、この対立がなく全ての意思決定が円満になされ…

第137回芥川賞選評

この半期の文学界で大きな話題となったのが綿矢りさ「夢を与える」である。「蹴りたい背中」の緻密な描写により最年少で芥川賞に輝いた彼女が、その狭い世界を放棄し、暗示に満ちた人生を鳥瞰したこの作品が“失敗作”であるということは、多くの論者が共通し…

温暖化と北海道

個人的な人間性はともかく組織の意思決定では組織のエゴを貫徹するべきだと思う。北海道庁であれば、世界や日本のためになることを考える必要はなく、北海道民のためにどうするかを考えればよい。もちろん、地球を破滅させてはいけない。しかしそれは、地球…

夕張の財政再建:一年を経て

夕張市が財政再建団体となる意向を表明してからまもなく一年が経とうとしている。相変わらずメディアに取り上げられることは多いが、私は最近、夕張のニュースを見聞きする度に不愉快な気持ちになる。 まず第一に、営利企業の偽善的な態度である。ネスレは、…

アイスブレーキング

私は檜山支庁にいた三年間、ふるる函館やネイパル森で休日を過ごすことが多かった。いずれも青少年研修施設であり、頻繁に小学生を対象とした主催行事を行っていた。こうした行事に、私はボランティアスタッフとして参加していたわけだが、こどもたちには、…

世紀央の風景

BRICsリポートが出たのは2003年。今のところ、リポートの通りに世の中は動いているし、これを超える理論も見当たらない。私は、この4ヶ国が併走するというよりは、ブラジルを除いた3ヶ国のうちいずれかが、2050年には突出した地位を築くと考えている。 今…

初めてのお泊り

国内外のどこそこへ行ったという話しをするとき、言い足りない故に欲求不満になることがある。それは、宿泊した地域と日中に訪ねただけの地域では、印象にかなりの強弱差ができるのである。たとえ幾つもの場所を見て回って話題を沢山仕入れた土地であっても…

傷城

中国旅行中の1月、行き掛かりで立ち寄った合肥という街で「傷城」という映画をみた。たしか20元(約300円)だったと思う。主演は金城武とトニー・レオン。アクション映画など滅多に見ない私が、この映画を選択したのは日本語が聴けるかもしれないという、初…

右肘関節内粉砕骨折

3月5日、退院。3月12日、出勤。そして3月19日にはギブスを外すなど、順調に推移してはいるようだ。しかし、2月8日の骨折以来すでに40日も経過しているにも関わらず、リハビリ通院を強いられ、腕の運動が極度に制限される状況を思えば、一時の事…

産業別構成比

国内総生産と道内総生産の産業別構成を対比することは、北海道経済の症状を診断する上で不可欠のことである。いずれも平成15年度の内閣府「国民経済計算確報」及び北海道「道民経済計算年報」によれば、製造業は全国20%に対して北海道はわずか10%、…

PER・PBR・25日線

先月末、私は資産を、①日本株式、②日本不動産、③外国株式&商品、④外国為替に四分割するポートフォリオの大幅な入れ替えを実施した。①については、北陸&北海道の景気に連動するほくほくホールディングスのみを現物で保有し、電気機器とベンチャー企業の投資…

中国経済は本物か

今度の年末年始は中国を旅行した。私が海外旅行をしたいと思い、初めて購入したガイドブックは、1993年の中国のものであった。結局使われなかったその旅行ガイドから幾年、世界はめまぐるしく変わった。そして、私の興味も歴史から経済へと大きく移った。…

第136回 芥川賞選評

いつぞやの文学界新人賞の選評の中で誰かが述べていたのだけれど、現実の世界のマイノリティーは、必ずしも小説の世界でマイノリティーではない。このときの候補作が判で押したように30台未婚女性だったのだけれど、フリーターやニートについての同じこと…

簿記検定

昨日、日商簿記の合格発表があり、私は3級に合格した。もっとも、商業高校であれば2級程度の知識は習得できるわけだし、国税専門官であれば税務大学校における初任者研修の数ヶ月で2級に合格しなければならない。だからまだ、3級に合格し、まだ2級試験…

47都道府県の旅

最近では、暇と金があれば海外へ出かけるようになり、国内旅行はおろか帰省さえもめっきりしなくなったが、法学部生の頃は長い休みの度、帰省にかこつけて青春18切符で旅行したものだった。 仙台や京都に住んだことがあったことがあるとはいえ、専ら北陸で…

師団制度

いよいよ防衛庁の省への昇格が現実的な立法日程にのぼってきている。そればかりか小泉純一郎政権よりさらに右傾化した安倍晋三政権のもとで、集団的自衛権まで論点になりそうな勢いである。しかし私は、急成長する中国の軍事的な脅威に対応するためには外枠…